塩風呂の入り方|量・温度・時間の目安と、入る前に確認したいこと

一日の終わりに、湯船へ。そこに塩をひとさじ加えるだけで、いつものお風呂が少し違う時間になります。
ただ、いざやってみようとすると「どのくらい入れればいいのか」「追い焚きしても大丈夫なのか」で手が止まる方が多いようです。
この記事では、次の3つをまとめました。
- 塩の量の目安と、お湯の量別の早見表
- 入り方の手順(湯温・時間の目安つき)
- 入る前に確認しておきたいこと(浴槽・残り湯・体調)
※この記事は古くからの言い伝えや生活習慣を紹介するものです。特定の効果や効能を約束するものではありません。
塩風呂とは
湯船に塩を入れて入浴する方法です。特別な道具は要らず、家にある浴槽でそのまま試せます。

昔から続いてきた「清め」と湯治の習わし
日本では古くから、塩は清めのために使われてきたと言われています。相撲の土俵に塩をまく、玄関に盛り塩を置く——どれも生活のなかに残ってきた習わしです。
また、海辺の湯治場に通う文化も各地にありました。塩を湯に入れる入浴は、こうした「清め」と「湯治」の両方に連なるものとして受け止められてきたようです。
ここで大事なのは、「習わしだから」ではなく、そこに意味があったから続いてきたということです。塩は水分を引き寄せ、腐りにくくする性質から、古くは保存や祭祀に使われてきました。その延長で「場を整えるもの」として扱われてきた、と説明されることが多いようです。
「バスソルト」と何が違うのか
市販のバスソルトも、塩を主成分にしたものが多くあります。ただし商品によっては、香料・着色料・保湿成分などが加えられています。
- 塩風呂:塩そのものを湯に入れる
- バスソルト:塩をベースに、香りや色などを加えた入浴用の製品
どちらが良いという話ではありません。何が入っているかを確認して選ぶ、というだけのことです。

塩の量の目安は「大さじ2〜3杯(30〜50g)」
一般的な家庭の浴槽(約180L)で、大さじ2〜3杯(30〜50g)が目安です。
はじめての方は、少なめから始めてください。一度に決めず、何回か試しながら自分に合う量を見つけるほうが失敗しません。

お湯の量別の早見表
浴槽の大きさによってお湯の量は変わります。目安として、次のように考えると分かりやすいです。
| お湯の量 | 塩の量の目安 |
|---|---|
| 約150L(浅めに張る・半身浴) | 大さじ2杯(約30g) |
| 約180L(一般的な家庭の浴槽) | 大さじ2〜3杯(30〜50g) |
| 約200L(大きめの浴槽・満水に近い) | 大さじ3杯(約50g) |
お湯の量が分からないときは、「一般的な家庭の浴槽=約180L」を基準にして、大さじ2杯から始めるのが無難です。

多く入れればいいわけではありません
「たくさん入れたほうが効くのでは」と思われがちですが、量を増やす理由はありません。
理由は2つあります。
- 浴槽や配管への負担が大きくなる(このあと詳しく書きます)
- 肌についた塩分を洗い流す手間が増える
濃くすることで何かが良くなる、という裏づけは確認できていません。目安の範囲で使ってください。
計量スプーンが手元にないとき
計量スプーンが見当たらないときは、次を目安にしてください。
- ペットボトルのキャップ:すりきり約2杯で大さじ1杯ほど
- 手のひら:軽く一盛りで大さじ1〜2杯ほど
いずれも正確な計量ではありません。きっちり測ることが目的ではないので、だいたいで構いません。
入り方の手順
① お湯を張る(38〜40℃)

湯温は38〜40℃のぬるめが目安です。
熱いお湯のほうが気持ちいい、という方も多いと思いますが、ぬるめをすすめる理由は長く浸かっていられるからです。熱い湯だとのぼせやすく、数分で上がることになります。
② 塩を入れて、よく溶かす

お湯を張り終えてから塩を入れ、手でよくかき混ぜて溶かします。
溶け残りを放っておくと、浴槽の底にたまって傷の原因になることがあります。粒が見えなくなるまで混ぜてください。

③ 10〜15分を目安に浸かる

10〜15分が目安です。
こちらも、長ければ長いほど良いというものではありません。のぼせやすい方、体調に不安のある方は短めにしてください。途中で気分が悪くなったら、我慢せずに上がってください。
④ 上がる前に、シャワーで軽く流す

肌に塩分を残さないために、上がる前にシャワーで軽く流します。
特に肌が乾燥しやすい方は、この工程を省かないでください。
⑤ 水分をとる

入浴の前と後、両方で水分をとってください。入浴中は自覚がないまま水分が失われます。コップ1杯を目安に。
塩の選び方

向いている塩/避けたい塩
向いているもの
- 海水由来の自然塩
- 香料・着色料などが入っていないもの
避けたいもの
- 香料や着色料が加えられているもの(浴槽に色が残ることがあります)
- 食用として味付けされているもの(ハーブソルトなど)
天然塩・岩塩・フレークソルト・精製塩の違い
| 種類 | 特徴 | 塩風呂での扱い |
|---|---|---|
| 天然塩(海塩) | 海水を煮詰めた・天日で乾かした塩。粒が粗くしっとりしている | 一般的に使われている |
| 岩塩 | 地層から採れる塩。粒が大きく硬め | 溶けにくいので、よくかき混ぜる |
| フレークソルト | うすく平たい結晶 | 溶けやすい |
| 精製塩 | 粒が細かくさらさらした食卓塩 | 使えないわけではないが、あえて選ぶ理由は少ない |
入る前に、必ず確認すること
ここがいちばん大事です。塩風呂で困るのは、たいていお風呂の設備のほうです。
追い焚き機能付きの浴槽

追い焚き機能のある浴槽では、塩の使用を避けてください。
理由ははっきりしています。追い焚きの配管には銅が使われているのが一般的で、塩分は銅を腐食させる可能性があるためです(LIXIL公式の案内より)。追い焚きはお湯を配管に通して温め直す仕組みなので、塩分を含んだお湯が配管の中を何度も通ることになります。
LIXILは「バスソルトや硫黄が含まれた入浴料を使用した際は、追い焚き機能を利用しないように」と案内しています。

判断に迷ったら、必ずお使いの浴槽・給湯器の取扱説明書を確認してください。 メーカーによって、使える入浴剤の条件が定められている場合があります。
浴槽・風呂釜の素材
ここは正直にお伝えします。 LIXILは、ユニットバスで使う入浴剤について「硫黄系・塩分・酸・オイル・アルコールを含むもの」を避けるよう案内しています。塩は、この「避けるもの」に含まれます。
人造大理石の浴槽では、塩分を含む入浴剤が汚れの付着や損傷の原因になるとも案内されています。
それでも塩風呂を試すなら、条件は2つです。
- お使いの浴槽の取扱説明書を必ず確認する(メーカーによって案内が異なります)
- 入浴後、お湯を放置せずにすぐ洗い流す(LIXILも「入浴後はお湯を放置せず、浴槽内・浴室内を速やかに洗い流してください」と案内しています)
大理石や木製の浴槽は、特に変色やシミが残りやすい素材です。心配なときは、無理に試さないでください。
残り湯は洗濯に使えるか
洗濯機メーカーが挙げている注意点は、塩分ではありません。
日立は、風呂水を洗濯に使う場合の注意として、次の2つを挙げています。
- 入浴剤の種類によっては、色移りや変色することがある
- 発泡・ゼリー・とろみタイプの入浴剤を入れた風呂水は、吸水されない場合があるため使用しない
塩だけを入れたお湯は、このどちらにも当てはまりにくいものです。ただし「塩分は問題ない」と明記されているわけでもありません。お使いの洗濯機の取扱説明書を確認するのが確実です。気になる場合は、塩風呂の日だけ残り湯を分けてください。
肌と体調で気をつけること
- 肌に傷があるとき:しみることがあります
- 肌が乾燥しやすい方:上がる前に必ず流してください
- のぼせやすい方:時間を短めに。途中で気分が悪くなったら我慢せずに上がってください
入ったあとの片づけ

すぐに洗う理由と、洗い方
入浴後は、その日のうちに浴槽を洗ってください。
塩分を含んだお湯を長時間ためたままにすると、浴槽の素材によってはシミや傷みの原因になります。
洗い方は普段どおりで構いません。やわらかいスポンジで全体を洗い、最後に真水でしっかりすすぐことだけ意識してください。排水口まわりも一緒に流しておくと安心です。
よくある質問
毎日入っても大丈夫?
決まりはありません。ただし浴槽への負担と、肌の乾燥が気になる方もいます。まずは週に1〜2回から、様子を見ながら調整してください。
食塩(精製塩)でもいい?
使えないわけではありません。ただ、わざわざ選ぶ理由も特にありません。粒が粗い自然塩のほうが、溶ける様子が見えて分かりやすいと思います。
子どもと一緒に入れる?
塩を入れたお湯そのものに決まりはありませんが、肌が敏感な小さなお子さんは、しみることがあります。心配なときは、塩なしの日に一緒に入るほうが気楽です。
追い焚きせずに温め直すには?
さし湯(熱いお湯を足す)で調整してください。追い焚きは使わない、が基本です。
まとめ
塩風呂は、特別な道具がなくても今夜から試せます。押さえるところは3つだけです。
- 量は大さじ2〜3杯(30〜50g)。増やす理由はありません
- 38〜40℃で10〜15分。ぬるめ、短め
- 追い焚きは使わない。残り湯は洗濯に回さない。その日のうちに浴槽を洗う
人づき合いに疲れた日の切り替え方は「塩でリセットする方法」に、塩を使ったお清めの基本は「お清めの基本」にまとめています。
塩そのものを探している方へ。石垣島の海水からつくる自然海塩「新月の塩」を、運営元の禊月で扱っています。
※本記事は古くからの言い伝え・文化・体験に基づく内容であり、効能・効果を断定するものではありません。
